「俚斗、大丈夫?」

私は寄り添うように隣に座った。


「うん。大丈夫……。小枝こそ平気?お尻冷たくない?」

「もう寒すぎてお尻なんて気にならないよ」

「はは、そうだよね」


ニュースでは観測時間も表示されていて、それは21時から23時までの間。予定時刻まであと5分だった。


「小枝」

俚斗が夜空を見上げながら私の名前を呼ぶ。

「ん?」と、私は俚斗のほうに目を向けた。


透き通るような肌と、雪の雫が乗っている長いまつ毛。その綺麗な横顔に何度目を奪われたっけ。


「俺、思うんだ。寿命とされていた時間を過ぎて2年間も生きられたことは、奇跡なんかじゃなくて、小枝にもう一度会うためだったんじゃないかって」


俚斗があまりに優しく笑うから、胸がギュッとした。