そのあとは本当に乗客が私だけになって、運転手さんに送ってもらうのが申し訳ないぐらい。
次々とバス停を通りすぎて、私が降車ボタンを押したのは俚斗が降りた場所から8つ目の美瑛駅。
外に出た瞬間にまた痛いぐらいの寒さが身にしみた。だけど駅から降りてきた親子が平然とした顔で歩いていて、子どもはまだ3歳ぐらいなのに雪道を歩くのもお手のもの。
その姿に感心しつつ、やっぱり身体は北海道生まれでも私の感覚は東京育ちなんだと実感した。
家に帰るとすぐにおばあちゃんが出迎えてくれて、家の中が薪ストーブで暖かい。
しかも台所では晩ごはんのいい匂いがしていて、こんな明るい家に帰ってきたのはいつ以来だろうか。
「身体が冷えたでしょ?先にお風呂はいりなさい」
こんなに至れり尽くせりでいいのかな。
とりあえずおばあちゃんの言うとおりお風呂に入ることにした私は脱衣場へと向かって、そこにも寒くないように電気ヒーターが付けられていた。
きっと色々と私が困らないようにしてくれてるんだろう。……本当にありがたい。