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そして次の日。いつものように青い池に向かう足取りは軽かった。

真新しい雪を踏みしめながら、私はずいぶん雪道を歩くのがうまくなったな、と自画自賛する。今なら全力疾走できてしまうかもしれない。


「俚斗……!」

思いのほか声が響いてしまって、会って早々俚斗にクスリと笑われてしまった。


「はは、元気だね」

ちょっと恥ずかしくなりつつも、私はちょこんと俚斗の隣に並ぶ。何故かじっと見られているような視線を感じて思わず口を尖らせた。


「な、なに?」

「もしかして、走ってきた?」

「……ちょっとだけ」

どうして俚斗には色々なことがお見通しなんだろう。


「やめてよ。危ないから」

だって早く俚斗に会いたかったから、なんて言えない私はいつもの淡々とした口調で答えた。


「平気だよ。全力で走っても転ばなかったし」

「ああ、だから髪の毛がボサボサなんだ」

「えっ!?」

今さら私は慌てて髪の毛を直す。

前なら『べつにボサボサでもいいし!』なんて言い返していたと思うけど、今はそれができない。

ずっと鉛のように重かったものがなくなって、自分にとって俚斗という存在がどれだけ大きいものなのか今さら実感している。


だからかな。前よりもずっと、俚斗にドキドキしてしまう。