「そっか。俺ここ」
俚斗は言葉が言い終わる前にすでにオレンジ色の降車ボタンを押していた。そして車内の電光掲示板には【原野(げんや)6線】と表示されていて、バスがゆっくりと停留所に停車する。
「俺青い池にはほとんど毎日いるから。暇だったらまた遊びにきてよ」
ちょっとその発言に違和感。青い池は美瑛町のもので俚斗のものじゃないのに。
俚斗はポケットから無造作に小銭を出して手のひらで確認する。そして……。
「久しぶりに誰かと話せて楽しかった。またね」
そう言って前方の出入り口へと歩いていって、整理券とお金を運賃投入口へ。俚斗がバスを降りたあとすぐにプシューとドアが閉まり、俚斗は暗い夜道へと消えていった。