俚斗が言ったとおり、親も完璧じゃない。

だからお母さんは完璧じゃないし、色々と間違える。

それを許すのか、許さないのか、その答えを私は探していた。

でも違うね。許したいのか、許したくないのか、私は今、答えを出そうとしてる。


「……お母さん」

これを言ったら、もう後戻りはできないかもしれない。

それでも、私は後には戻らない。ただ、前に進むだけ。



「冬休みが終わったら東京に帰るよ」

やり残してきたことがたくさんある。


だれも信用できないと自ら孤立を選んでいた学校。まずは関わりを遮断し続けてきた人たちとの関係を築くこと。

そしてまだ未熟なお母さんとも、これからはちゃんと向き合っていきたい。


「そしたら、今度こそたくさん話そうよ。ぶつかっても喧嘩しても嘘偽りない気持ちで話せば、いつか普通の親子みたいになれるんじゃないかな」

声が震えて、涙が溢れた。


断ち切ることで前に進むこともある。でも、繋ぎ直すことだってできるはず。

まずは、受け入れることから。お母さんのことも、自分のことも、苦しかった過去のことも。大丈夫。何度だってやり直せる。


『小枝、ありがとう……っ』

お母さんは何回もその言葉を繰り返して、最後は「じゃあ、また連絡するから」と私は笑顔で電話を切ることができた。