「小枝は高校生でしょ?」

「うん」

「何年生?」

「高2」

愛想の欠片もない言い方で返した。


「じゃあ、17歳?」

「そう」

「俺と同じだ!」

この無駄な会話はなんだろう。まるで誘導尋問されたような気分。


俚斗はそのあと何故かご機嫌で、私の知らない歌を口ずさんでいた。その様子を窓越しで見つめながらバスはどんどん進んでいく。

足元にはブーツについた雪が溶けて水滴が溜まっていた。


窓越しで見ても俚斗は本当に綺麗な顔をしている。肌は雪のように真っ白で、透明感があって、その周りだけ空気が違うような気がする。

ちょっとまた目を奪われて気づかれないように黙視していたのに、俚斗がこっちを見てニコリとするから窓を通じて目が合ってしまった。


「小枝はどこで降りるの?」

「……美瑛駅前」

ぶっきらぼうに私は答える。


なんだかすでに俚斗の雰囲気に飲まれつつある。

人との繋がりなんてない私だけど、俚斗のようなタイプの人は東京にはいない。同級生の男子は口を開けば下ネタや品がないことばかり。

大してカッコよくもないのに見た目ばかりを気にするカッコつけしかいないから。