***
体育館で俚斗の過去を知ったあと、私は全てを話した。
お母さんのことも大樹のことも、そして私たちが幼い日に会っていたことも。俚斗はその間も優しく「うん、うん」と聞いてくれていた。
その日は結局、体育館で朝まで過ごして朝一番の道北バスに乗って家へと帰った。そして、それから二日が過ぎて、北海道は連日雪が降り続いていた。
「さ……え、小枝」
誰かに身体を揺すられて私は目を覚ます。重たい瞼を開けると、そこには心配そうに私の顔を覗きこんでいるおばあちゃんがいた。
「もうお昼よ。また具合でも悪い?」
「え、お昼?嘘でしょ」
私は慌ててスマホの時計を見ると、たしかに時間は12時になろうとしていた。
「ごめん。雪かき……」
「ううん。いいのよ。一回起こしにきたんだけど、あまりにぐっすり眠っていたから声をかけなかったの」
おばあちゃんはそう言って、一応私の額に手を当てて体温を確認している。
「うーん、熱はないわね」
「はは、ないよ。ただ寝過ぎちゃっただけ」
「それならいいけど。あ、お腹すいたでしょ? 早く顔洗ってきなさい」
「はーい」
暖まった布団から出るとすぐに寒さで身震いして、私はモコモコのカーディガンを羽織った。
洗面所に向かって鏡を見ると、もう背伸びをしなくても顔が見えて、やっぱり映っているのは成長した17歳の私。