それから私たちは同じ道北バスに乗って帰ることになった。青い池入り口のバス停には私たちしかいなくて車内もまた貸し切り状態。

また私は後ろの席に座ると俚斗も真似するように付いてきた。


「……あっちに座ってよ」

一緒に来たわけでも席が空いてないわけでもないのに、どうして並んで座らなきゃいけないのか。


「ん?なんで?あ、ひょっとして小枝はバス酔いしちゃう子?」

私を家出少女と言ったりバス酔いする子と言ったり、堂々と言ってるわりには的を得てないこの発言はなんなんだろうか。


「酔ってもいいからね。俺ガム持ってるし」

「酔わないよ。勝手に決めつけないで」

私はため息をつきながら窓の外に目を向けた。

まだ時間は18時30分前だというのに、すでに辺りは真っ暗。気温もどんどん下がってきてるし、カイロの効き目が届かないブーツの中の足先が冷たい。


「大丈夫?寒いの?」

なかなか暖まらない手を擦り合わせていると俚斗が首を傾げて聞いてきた。


「寒いよ。当たり前じゃん」

むしろ普通のことを聞かないでほしい。ここで暑いと言ったら完全に頭がオカシイ人だよ。


「冬の美瑛はこれからもっと冷えるよ。小枝はいつまでこっちにいるの?」

その言葉に私の口が重くなる。


……いつまで、か。

本当にいつまでいようか。東京の冬休みは短いから1月7日にはもう三学期がはじまってしまう。