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俚斗は本当に不思議な子だった。

純粋だけど物知りで、子どもっぽいのにたまに大人びたことを言ったりする。そして疑うことを知らないまっすぐな人だから、私のことを完全に男の子だと信じていた。


「ねえ、大樹の好きなスポーツってなに?」

他愛ない会話をしてたとき、急に俚斗がこんな質問をしてきた。


「うーん、サッカーかな」

私は、休日になると俚斗に会いに青い池へと向かうことが当たり前になっていた。

もちろん、お母さんたちには内緒で、毎回『友達と遊ぶ』と嘘をついている。


だって、ひとりでバスに乗っているなんて知られたら二度と許してもらえないし、おばあちゃんとお母さんは相変わらず喧嘩ばかりで家にいるのも息苦しいから。


俚斗と話している時だけ私は現実を忘れられた。

大樹として接することで根暗だった自分が消えて明るくなれる。


「サッカーか。俺はあんまりやったことないな」

「なんで?」

「だって、ひとりじゃできないでしょ」

私はその言葉に目を丸くさせた。俚斗はまっすぐだけどミステリアスな部分もあって、こうして度々驚かされる。