そしてバスは〝白金青い池入り口〟で停車して私は再び外に出た。


観光バス用の駐車場を通りすぎて、次は一般車両の駐車場が見えてきた。足元の砂利の音が響く中で私は人工的に作られた山の道を歩く。

地面は木の根っこが露出していてデコボコとしていた。そして2分ほど進むとそこには……。


「……あった」

目の前には神秘的な青い池。

奥には霧がかった山が見えて、池の周りには木の葉が全部枯れ落ちて枝だけになっている白樺(しらかば)の木々たち。

白樺は池の中にも生えていて夏だと青の水面に木や空が反映して浮かび上がる。今の季節の青い池の水は凍っているけれど、それでもコバルトブルーの色はわずかに残っていた。


「……綺麗……」

思わず独り言が漏れる。

息を吸うたびに肺が痛くなるほどこの場所だけ空気が違う。それでも不思議と息苦しさは感じなかった。


青い池の景色は春、夏、秋、冬と見たことがあったけど、それでも私はこの冬景色が一番好きかもしれない。


「はあ……」と息を吐きながらカイロで両手を暖める。

……と、その時。なにやら視線を感じて池から目をはずすと木製の手すりの前で立っている男の子がこっちを見ていた。


「こんにちは」

声をかけてきたのは男の子のほう。