そんなことを考えている内に青い池に行くバスがきた。時間は15時46分。


〝白金(しらがね)温泉行き〟と書かれているバスに乗って、私は一番後ろの座席へと座った。東京では電車移動がほとんどでバスに乗るのも久しぶり。


車内は外との気温差でやっぱり窓は曇っていて自然と手で拭いてしまう。はらりはらりと雪が降り続ける中で、バスのドアはすぐに閉まってゆっくりと動きだした。


目的地まで約20分。

昨日はあまり眠れなかったからバスの心地いい揺れでまぶたが重くなる。寝過ごしてはいけないと私はポケットからスマホを取り出した。


画面には地域情報を知らせる表示がされていて、別に知りたくもないのに【東京 最高気温12℃。最低気温5℃。晴れのち曇り】と勝手に天気を教えてくれた。


だれも私がこんな雪国にいるなんて思いもしないだろう。

いや、だれも私のことなんて思い出すはずがない。私は学校では〝そういう存在〟だったから。