今日ここに来る間、私はずっと俚斗のことばかりを考えていた。それは覚悟にも似た感情で、顔を見たら揺らいでしまうかなって不安だったけど、今も強く溢れている。


「ねえ、俚斗。今日ってライトアップやってる?」

「うん。やると思うよ」

「見て行かない? 前に約束したでしょ?」

俚斗は嬉しそうに首を縦に振ってくれた。


ライトアップの時間は十七時から二十一時までで、それまでどうしようか相談して、とりあえず私たちはお腹がすかないようになにかを食べにいくことにした。


「またデートみたいじゃない?」

スマホで近場のレストランを検索しながら俚斗はさっきから隣でずっとご機嫌だ。


「歩いてるだけだけどね」

「ムードがないなあ」


多分そこが私の社交性のなさというか、あんまりはしゃぐのも得意じゃないから、私の冷静さを見て相手が冷めてしまうんだと思う。

それでも黙って歩いていれば私たちはカップルに見えるらしくて、俚斗を見てザワザワする女の子たちが「なんだ、彼女つきか」と残念そうな顔をしていた。


俚斗がもし普通に学校に通っていたら大変だろうな。

うちの学校にもモテる人はいるけれど、俚斗と比べるとやっぱり劣ってしまう。

あんまり誰かのことをカッコいいなんて思ったことがない私が見とれるぐらいだから、けっこうすごいポテンシャルの持ち主だ。