じっと見る。

緑色の和皿に、見たこともないような真っ黄色の卵、そして赤いケチャップ。

窓からの光にキラキラとそれぞれの色を主張しているみたい。

立ちのぼる湯気が鼻腔をくすぐり、なんだかワクワクすらしてしまう。

でも、どう見てもオムレツなんだけどな……。

首をかしげて答えを求めると、男性はあきれたようにため息をついた。


「それは、『西洋卵焼き』という朝ごはんだ」


「西洋…卵焼き……。それってオムレツでは……?」

真面目に考えて損した。

ほんと、この人変わっている。

男性はいつの間にか着物の袖をたすき掛けして止めていた。思ったよりも太い腕が覗いている。


「なんでもかんでもカタカナの言葉にするんじゃない」


憮然として腕を組むと私を非難してくるけれど、

「だって和風に言ってるだけでしょ。無理して日本語にしなくてもいいのに」

つい反論してしまい、不機嫌そうにうなり声をあげだした男性に気づいて口を閉じた。