わたしは開いたドアの中に飛び込んだ。
心配そうなおじいちゃんに、笑顔を作ってみせる。



でも、無理だった。

笑いながらわたしは泣いていた。

あふれる涙をどうすることもできなかった。


「くるみちゃん!」

エレベーターのドアが閉まり、グイーンという音と共に階下に降りていく。


その重力は、どこまでも深い奈落の底までわたしを連れていくような気がした。
いや、もうどこまでも落ちていきたかった。



誰かわたしを、凪の存在しない世界へ連れていってほしいと、強く願った。