それから数日、わたしは注意深く凪を観察していた。
パッと見た感じでは、特に変わったところはなにもない。
でも、わたしは気づいてしまった。
今まで、凪にはふとした瞬間に見せる表情があった。
例えばすごくおいしいものを食べた時、お腹が痛くなるほど大きな声で笑った時、声が出なくなるほど心を揺さぶられる美しいものを見た時。
そんな時、凪は感激した後、いつも表情に空白が生まれるのだ。
その時、凪は『ここにお母さんが一緒にいたらいいのに』と考えている。
同時に、凪の心は遠く離れたお母さんのそばに飛んでいってしまう。
それが凪の表情に空白が生まれる理由だと、わたしにはわかっていた。
だから、一緒に夕日を眺めるたび、隣にいる凪が遠くにいるように感じてきた。
しょうがないことと思いつつ、寂しい思いをしてきた。
なのに、今の凪にはその空白がない。
あるのはただ、『夕日がキレイだね』と感激する思いだけ。
あれほどお母さんのことを思っていた凪なのに。それがこんなにさりげなく、あっという間に消えてしまうなんて、そんなこと本当にあるのだろうか。
心がどこかに行ってしまう凪の隣にいることが寂しいと感じていたのに、いざ凪が屈託ない笑顔を見せるようになると、違和感があって、そんな自分に戸惑っていた。
パッと見た感じでは、特に変わったところはなにもない。
でも、わたしは気づいてしまった。
今まで、凪にはふとした瞬間に見せる表情があった。
例えばすごくおいしいものを食べた時、お腹が痛くなるほど大きな声で笑った時、声が出なくなるほど心を揺さぶられる美しいものを見た時。
そんな時、凪は感激した後、いつも表情に空白が生まれるのだ。
その時、凪は『ここにお母さんが一緒にいたらいいのに』と考えている。
同時に、凪の心は遠く離れたお母さんのそばに飛んでいってしまう。
それが凪の表情に空白が生まれる理由だと、わたしにはわかっていた。
だから、一緒に夕日を眺めるたび、隣にいる凪が遠くにいるように感じてきた。
しょうがないことと思いつつ、寂しい思いをしてきた。
なのに、今の凪にはその空白がない。
あるのはただ、『夕日がキレイだね』と感激する思いだけ。
あれほどお母さんのことを思っていた凪なのに。それがこんなにさりげなく、あっという間に消えてしまうなんて、そんなこと本当にあるのだろうか。
心がどこかに行ってしまう凪の隣にいることが寂しいと感じていたのに、いざ凪が屈託ない笑顔を見せるようになると、違和感があって、そんな自分に戸惑っていた。