自分の、気持ち……。遥がなにを言いたいのか、なんとなく分かる。


私達四人の中で、恋愛感情を露わにすることはこれまで一度もなかった。誰が誰を好きとかそういうことをしてしまうと、何かが壊れるのではないかと子供ながらに感じていたからだ。


でもきっと、遥は気付いていたんだろう。というか、遥が気付いているということに、私も気付いていた。

多分、もうずっと昔から。



「……ん、そうだよね」


答えになっていない言葉を漏らした後、真っ暗な空を見上げた。木々の隙間からは、小さな星が煌いている。

綺麗な空気だからこそ見える星たちを毎日のように見てきたけれど、飽きることは決してない。



「今日のキャンプが決まった日から、ずっと考えてたんだ」

空を仰ぎながら私がそう言うと、遥も同じように視線を上げて、「うん」と小さく相槌を打った。


「タイミングとかよく言うけどさ、それっていつなんだろうなって」


別々の道を進む前に自分の気持ちを打ち明けると言うと聞こえはいいけれど、考え方を変えれば〝言い逃げ〟のような気もする。

今までみたいに毎日顔を合せる心配はないのだから、もしも気持ちが繋がらなかったとしても気まずくなることはないからだ。



「そんなのないでしょ。上手くいけばいいタイミングだったなって思うんだろうし、ダメだったらタイミングが悪かったってなるんだから」

「確かに、そんなのないよね……」


遥の言葉を繰り返して呟いた私は、さっきまで間近に見ていた彼の顔を思い浮かべる。

気づけばいつの間にか目で追うようになっていて、そして彼にだけ抱く特別な感情〝好き〟という気持ちが芽生えていた。


環境が大きく変わってしまう前に今言うべきなのか、それとも自分の気持に自信が持てて、言いたいとハッキリ思えた時に言うべきか。



「なんでもそうだけどさ、言いたい時に言えばいいんだよ。私はそう思う。だから言うね」

「え?」