「頑張ってね。あかりならきっと叶えられるよ」

「文系だったら小説書くための勉強にもなるだろうし、俺と同じであかりも昔から本が好きだったもんな。頑張れよ」

「遥、真人、ありがとう。あくまでも夢だから、なれるかどうかは分からないけど……」


頑張れと言ってもらえるのは凄く嬉しいけれど、その夢に向かってひたすら努力をすることが本当に正しいのか、正直分からない。


今までは好きなことを好きなように書いて、みんなに見せたりしていたけれど、本気で目指すとなったら楽しいことばかりではないと思うし。

万が一それで悩んだりして書くことが嫌いになったら……そうなることが一番怖かった。



「なれたらいいなって、そのくらいの思いなんだけどね。私は三人に読んでもらえて面白いって言ってくれるだけでじゅうぶん嬉しいし」


「なに言ってんだよ。俺らに見せるだけで終わるなんて、そんなの絶対ダメだからな!」


背もたれに寄りかかったままのそうちゃんに突然そう言われ、怖いくらい真剣で真っ直ぐな瞳が、誤魔化すように苦笑いを浮かべた私の心に突き刺さる。



「あっ……でも、夢は夢だけど、私は本当に書くことが好きだから、書き続けていられればいいし……」

「よくないだろ! 絶対ダメだ。あかりは絶対小説家にならなきゃダメなんだ」


「ちょっと颯太、あかりの夢はあかりのものなんだから、あんたがとやかく言うことじゃないでしょ?」

「いや、俺はとやかく言うぞ。別の仕事をしながらでもいいから、あかりは小説家になるべきだ」


遥の言葉にも聞く耳を持たず、そうちゃんがどうしてそこまで言うのか分からなかった。

言い返す言葉が見つからなくて、自信がない自分の心の中を全て見透かされているような気がして、そうちゃんから視線を逸らす。