テーブルの上には遥が握ったおにぎりと、私が作った卵焼きと唐揚げがタッパーに入ったまま置かれている。


「端から梅、昆布、鮭、ツナマヨが二個ずつあるから」

「遥が料理とか、最後の最後で意外な一面見せてんじゃねーよ」

からかうように言ってツナマヨのおにぎりをかじったそうちゃんのお腹に、遥がパンチをした。


「あのねー、去年の体育祭でもおにぎり作りましたけど!」

頬を膨らませている遥の横で、真人は二個目のおにぎりを持ちながら、反対の手で卵焼きを口に頬張った。


「喋ってないで食べないと、なくなるぞー」

真人はどちらかというと細身なのに、実は大食漢だ。


「えっと、卵焼きは右側がしょっぱい系で、左が甘い系だからね」

二種類作ったのは、それぞれ好みが違うから。遥と真人は出汁のきいた卵焼きが好きで、私とそうちゃんは甘いのが好きだ。


「さすがあかり! 分かってるね~」

卵焼きを食べた遥が、笑みを浮かべながらほっぺに手を当て「美味しい」と呟いた。



食べる時は食べることに集中するというのも変わらずで、用意してきたご飯はあっという間に無くなり、ものの二十分でランチタイムは終了してしまった。


片付いたテーブルの上に、真人が温かいお茶が入った水筒と、クーラーボックスから取り出したペットボトルのジュースを置いた。


時刻は十三時、普段ならまだまだ時間があると思うのだろうけれど、今日は違う。

空の色が変わるのも陽が沈むのも、きっといつもより早いんだろうな。そう思うだけで、切なさが波のように押し寄せてくる。

みんなも、私と同じ気持ちなのだろうか……。