『・・・・・・俺はいつだってどんな時だって、』
私の瞳の縁から熱い雫が零れ落ちた時、ハッとしたようにアオが目を見開いた。そして息をつく暇もなく、いつものアオの表情に戻る。
表情とは裏腹に、拒絶を怖がるようなアオの指が私に伸びてきた。そっと触れて、優しく優しく、怯えるように私の涙を拭うと。
『ハル、ごめん』
たったそれだけを涙の代わりに絞り出した。アオは瞳を伏せて謝ると、下唇を噛み締めて私から離れる。そのまま私に背を向け、ソファーへ座り、黙り込んでしまった。
私は何も言えずに、ただ起きた出来事に頭がシャットダウンしたまま静かに涙を零し続けた。
それ以降の記憶はあまり無いけれど、修学旅行は無事何事もなく、おわることができた。私達のことは夏子達にうまく闇に葬られた。
ただ、私とアオの関係だけを除いては何事もなく、修学旅行は終わった。
なんでもないの
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説得力は皆無なので
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気にしてほしい時に
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はなんでもない
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