思わず必死で抗った声に、アオは私を試すように艶やかに目を細めて笑う。私の目元を撫でるように滑るその指は男の人。








『───じゃあハルは俺が好きなの?』






そっと落とされた声は甘い笑顔とは対照的に酷く震えて怯えていた。ずっとずっとずっと閉じ込められていた根強いものが声から滲む。





初めて見る優しさを帯びたアオの“男”の瞳に、気持ちが掻き乱れる。


今までの気持ちに、何も知らなかった頃の私達の笑顔に、心を引っ掻き回されて、苦しくなって、浅くなる呼吸で無意識に眉根が寄る。




そんな私に、アオはただただ静かに、涙を零す代わりに顔を歪める。温かな手で私の瞳を優しく覆って、私の視界を真っ暗にさせると、





そっと、私の唇に、触れた。





柔らかくて艶やかさがあるアオの唇が、甘い吐息と共に私に触れて、味わう暇さえ無く、ただ痺れるような余韻だけを残して離れた。