「ちょっ、開けるなら言ってよ!」
『ハル、脱いで』
「はっ、はあ!?」
『いや、ハルのコートも仕舞うから早く脱いで。ごめん俺はまな板に興味ない』
「くたばれクズ!」
いつものアオの調子にこちらばかり慌てているのが恥ずかしくなる。コートを脱いで乱暴にアオの顔面に投げつけてさっさと次の扉を開けて部屋に入る。
部屋はとても綺麗だ。入ったすぐがドレッサーで左側に大き過ぎるバスルーム。奥へ行けばテレビも全種類充電可能な充電器もあって、ガラスのテーブルに黒と赤のソファー。
そして左の奥にはセミダブルベッド。
何食わぬ顔で部屋に入って来たアオは早速冷蔵庫を開けて飲み物を取り出す。慌ててソファーに座る私に緑茶を投げてきた。
『ここ飲み物無料なんだって。コーラ以外でハルは何がいい?』
「コーラ」
『だめ俺がコーラ。ハル緑茶ね、はい』
「やだコーラ」
『コーラはもう紫春くんのものになりました。ごくごく』
アオはコーラを飲みながら部屋の周りを軽く見渡す。
「うざいきもい消えろ」
『ほんとに消えて泣いちゃったくせにー』
「・・・・・・」
『ごめんって』
特に表情を変えることなく私の横にあるソファーに自分の鞄をぶん投げる。