『まーたつまんねえの買うなよ』
いきなり、ぐっと左肩に重みを感じたかと思えばそれと同時に左の耳元にアオの声が滑り込んで来る。
「ちょっと!びっくりさせないでよ」
そちらに視線を向ければ、私の肩に顔を乗せたアオと至近距離で思わずびっくりしてその顔面を押し返す。
「おい近いきもい!買わないし」
『きもくない。普通だ、多分。え、そうだよね?俺そんなきもくないよね?大丈夫だよね?』
「何不安になってんのきもいんだけど」
『もうきもいって禁止!俺の心しくしくするから禁止!』
なんてどこへ行っても私達は私達で、くだらない言い合いをしながらお店の中を見て回る。アオと買い物すると何でもギャグになるから不思議だ。
『ハルハル、これ見て。箸置きだって。俺これ鼻に入れんのかと思った』
「ぶはっ、なんで鼻?」
『だってこの細さ鼻にジャストサイズじゃね。俺これ眺めてたら突っ込みそうになってやべえってなった』
「買えばいいじゃん。そんで入れれば」
『は?鼻にこれ突っ込んだ俺と一緒に歩けんのかお前』
「他人のふりする」
『だと思ったよ。これ姉ちゃんのお土産にしよっかな。鼻入れってことで』
「最低だ」
色んなお店を回って、食べ歩きもしながら普通に楽しんで。いや、大好きな人達と歩くのは普通より遥かに楽しくて、あっという間に時間が過ぎる。
故原くんと夏子が蜂蜜屋さんに夢中になっているので、私達は近くのクレープ屋さんに並ぶ。