それに目を瞑り、顰めっ面をしながらアオの暖かくて優しい手に私の眠気は一気に急上昇し、かくん、と自分でも気づかないうちに眠りに落ちていた。





「うっひゃあー!かーまーくーらーッ!」

『うわああああ鎌倉の匂いがするー!』

「あ、ほんとだー。鎌倉の匂いいいね」

『2人とも黙ってくれる恥ずかしいから』

『つーか鎌倉の匂いってなんだよ』





鎌倉に着いて、なかなか起きない私をアオが容赦なく頭を引っ叩いて起こした。鎌倉についた途端はしゃぎまくる私と故原くんに溜息を零して冷めた眼差しの夏子と疲れ気味のアオ。





『寺行くの、何寺?』

『正直寺とか別にいいな。俺みんなでわいわいできればそれでいいな!』




わくわくする故原くんはスマホをいじる夏子の隣でキョロキョロしている。2人の後ろに私とアオ。




『俺歩くの疲れたから近くの店で休みたい』

「食べ歩きしたいね!」

『ハル俺の話聞いてた?俺今休みたいって言ったんだけど』

「さて、小町通りでも行こうか」

『もうやだ、この子ほんとやだ』






ぐだぐだ文句を連ねながらもアオはしぶしぶ着いて来る。故原くんと私はもちろん一々はしゃぐのだが、買い物好きな夏子もお店通りになった途端元気になる。





『夏子ちゃんこれ似合いそう』

『あ、可愛い。拓人くんはー・・・これかな』

『俺これ?なんで?』

『特に意味は無いかな』

『あは、マジでか』





お土産屋さんで色々見ながら、よくわからない雑貨で盛り上がる夏子と故原くん。私もわくわくしつつ、お店の奥に入って色々眺める。