『───何かあったらすぐに助けを呼べ』
そんな呟きを残して、設楽会長は毅然としたままさっさと行ってしまった。満足な顔をする私と違って隣で盛大に舌打ちをしながら痛そうに頭をさするアオ。
「・・・会長、山吹先輩の御礼を言うために来たんだね。」
『いや、アイツ割りと本気でホラー克服したかったんだと思う』
「それはそれで面白いからいいや」
2人で歩きながら部室に戻ってもう時間も時間なので鞄を持ってすぐに出口に向かうと、アオに腕を掴まれる。
「・・・アオ?」
振り返るが、アオは無言のまま俯く。ただならぬ雰囲気に少し不安になりながらその顔を覗き込めば、何故か赤い頬。
無駄に綺麗なその顔が不意打ちで染め上がって、綺麗さと変な甘酸っぱさを掻き立てるので私もなんでか釣られて赤くなる。
そして、淡い沈黙を突き破ってアオが意を決して顔を上げて私を真剣な眼差しで見つめる。
『・・・ハル、あのさ、』
「どうしたの」
『・・・・・・』
「・・・アオ?」
ふわり、とアオの髪と私の髪が風に弄ばれる。アオの瞳でわずかに細まったかと思うと、薄い唇がゆっくりと開いた。
『──帰り俺のこと家まで送ってって・・・!』
「台無し野郎だなビビり」
カラスの鳴き声に悲鳴をあげる不審者を隣に私は男らしく女々しいアオを家まで送り届けてあげたのである。つくづく顔だけ野郎。
ホラー観た後の
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お風呂で目は瞑れないし、
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とにかく後悔の念がすごい
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