『もうグループも出来てて・・・最初は席の近い人が何回か声を掛けてくれたけど、上手く返せなくて・・・そしたらそのうちグループが出来ちゃってて』
「そっか」
まだ4月半ばとはいえ、高校生の交流の早さは異常だ。物凄いスピードで友達との結束を固め、自分の居場所を確保することに必死になる。
それに、彼は乗り遅れるどころか、乗れなかったのだ。
『僕、SNSとかもやってないし・・・これからどうすればいいのか、わからなくて・・・お昼も1人で』
「そっか、・・・っ、それは辛かったよね・・・ッう、」
『え!?せ、先輩、な、泣かないで下さい』
「泣いてない!これは断じて泣いてない!私あれだから、目から天然水出すタイプだから!」
『いやあの、その嘘はちょっと』
机の上に置いてあった箱ティッシュで涙も鼻水も拭うが、次から次へと止まらない。
「感受性豊か過ぎてうざい」とアオに言われた事があるがどうしようもない。というかアイツは感受性がなさすぎるのだ。
ガラリ、と部室の扉が開く音がした。私も飛田くんもそちらに顔を向ければ、疲れた顔をするアオがペットボトルを3本持っていた。
『・・・なんでハル泣いてんの?』
アオは長い足でさっさとこちらに歩み寄ってくる。ぼたぼた泣く私の顔を見て、うわ、と嫌そうな顔をしたアオは私を指さして飛田くんに問いかけた。