「それで?なんでアオはあんなこと言ったの?」
『あんなこと?』
「は?自分で言って忘れたとは言わせないから」
『・・・あー、あれね』
うさぎさんリンゴを食べていたアオはもぐもぐして、ごっくんする。綺麗な顔を無駄使いして無表情のまま、静川さんを見つめる。
『静川さんって座席どこ?』
『え?あ、窓際の1番前です。彼が試合の話をしてくれたのも偶然、隣の席になれたからで』
『な?ハル、大丈夫だろ?』
「は?何が?」
きらと自信満々に微笑みながら私を見たアオ。私は訝しげな顔のまま、アオを睨みつける。そんな私に目の前の奴は白目向きそうな顔になって固まる。
『・・・お前、マジで言ってんの?』
「は?何の話?意味わかんないんだけど、席関係なくない?」
『はあー・・・もういいや』
アオは溜息をついて私から視線を逸らす。笑顔で両手を合わせ丁寧に「ごちそうさまでした」と言うとその流れで静川さんに問いかける。