『ッいった・・・!はあ!?なんだよいきなり。殴るなら殴るって言えよ』
「右手でお前の左頬にぐーをめり込ませる!」
『いややっぱ言わなくていい』
『喧嘩はやめてください!』
私達の間に少し大きめな声が届いて思わず2人で動きを止めてそちらへ向けば、俯いている静川さん。その手はスカートをぎゅ、と握り締めて感情を押し殺しているように見える。
『わかってるんです・・・。私が彼と両想いになんてなれないこと』
「そんな事言わないでよ、静川さん」
『大体、彼と仲良くなれたのだって私のずるさの賜物だし・・・』
静川さんの言葉に私は首を傾げる。アオはお茶を飲みながらじっと静川さんを無表情で見つめているだけ。
静川さんは顔を上げることなく、ゆっくりと、今までの覇気も何もなく、弱々しく言葉を繋げる。
『ずっと気になっていた彼に初めて話しかけたのも、彼が部活で落ち込んで弱ってる時に漬け込んで、』