「その試合はいつなの?」
『明日です』
「早!」
『練習試合なので明日の午後から私達の高校のグラウンドでやるみたいです』
腕を組んで片目を瞑り、目の前の静川さんを観察する。
分厚い眼鏡の奥の瞳は綺麗な一重。三つ編みの真っ黒な髪は艶やかで、重たそうな前髪はアレンジによってはいくらでも可愛くなる。何よりも真っ白な肌はとても綺麗だ。
「私はナチュラル系が似合うと思うんだけどアオはどう思う?」
『えーどうでもいい』
「はあ?」
淡々とした冷徹な声に、ぐりんと隣のアオへ鬼の形相で視線を向ける。アオはちゃっかりデザートのフルーツを食べている。ほんっと最低だな。
「あんたねぇ、こんなに美味しそうなのご馳走になっといてなんなの?」
『そのままいけばいいじゃん』
「あ?アオ依頼聞いてた?」
『当たり前だろ。でも、俺は今のままの静川さんでいけばいいと俺は思う』
女心がわからないコイツは心底消え果てればいいと思う。苦虫を噛んだような静川さんを視界に捉えた時、私は思いっきりアオの脛を蹴っていた。