「アオが、あ、さっき擦れ違ったもやしね。部室立ち上げる時、“紙飛行機作ってもらう”って言い出して」
そのおかげで学校ではアオハル部=紙飛行機とそれなりに浸透している。
「理由はわかんないけど聞くまでもないし」
真剣に段ボールを見つめていた彼は私の視線に気づいて、バチ、と視線が重なり合った途端、慌てて俯いた。
あーまた閉ざされちゃったかな。なんて思いながらグミをもぐもぐする。
「ほんで?今日はどうしたの?あ、名前と学年教えてくれる?」
『あ、は、はい、えと、1年4組、飛田 仁史です』
「飛田くんね。私、2年の春井 青海。よろしくね。それで今日はどうしてここに?」
私の何気ない言葉に飛田くんの顔は明らかに沈んだ。俯いて、肩を竦めて、自分の立場を自分から消しているみたいに、弱々しい。
ひたすら黙って彼の言葉を待つ。漸く重たい空気を震えるような声で引き裂いた飛田くん。
『僕・・・友達がいないんです』
そういうことか。安易に言葉を返せずに口を紡ぐ私。飛田くんは視線を落としたまま言葉を続ける。