面倒臭い。

できるならもう一度ドアを開けて何処かへ行ってしまいたい。

だけど行くあてなんてどこにもない。

動けずにグズグズしている私の体はあっという間に母親に捕らえられてしまった。

「華、聞いてよ!

あの人ったらまた泊まりだって言うのよ。

泊まり込みで仕事を片付けるなんて言ってるけどそんなの嘘!

どうせ女のところに行ってるのよ。

だって聞こえたの。電話の向こうから女の声が。

子供がいるのになんで浮気なんかできるのかしら。

本当に酷い人。ねえ、聞いてるの?」