「僕とハナは出逢うべくして出逢ったってことにしない?

つまり運命ってこと。それならいいでしょう?」

何がいいんだ。

なんの答えにもなっていない。

何をどう考えたらそんなことになるんだ。

「くだらない。私彼氏いるから」

色の薄い瞳から薄暗い境内に視線を移して冷たい地面を踏んで、だけどもう一度だけその人を振り返る。

「もう待ち伏せとかやめてよね」

一言吐き捨ててそれからまた石段へと足を向ける。

足を向けた先には私の影が真っ黒に伸びていた。