朔は腕組みをしていかにもな思案顔をして、しばらくの間考えを巡らせる。 放っておこう。 とにかく朔の会いたがっている女の子は私じゃない。 それだけは確かなんだから。 鳥の鳴く声に顔を上げると橙色だった空には濃紺色が混ざっていて、いつの間にかチラチラといくつかの星が煌めいていた。 「じゃあさ」 シンと静まり返っていた境内に朔の声が小さく響く。 私はその声に誘われるように無意識に声の主を振り返っていた。