澄み渡った橙色の空を二羽の鳥が並んで飛んでいくのが見えた。

私にも羽があればいいのに。

そうしたらこんな薄汚れた場所とはおさらばして綺麗なあの場所にだって簡単に行けるのに。

だけど私には羽がない。

あの場所へ行く術を持っていない。

仕方がないから足を前に踏み出して汚い地面の上を歩いた。

硬く固まった雪の残る石段を滑らないように慎重に登った。

くすんだ鳥居を潜って本殿の前を通り過ぎた。

汚い場所と綺麗な場所の狭間の世界。

綺麗な場所に少しだけ近づける私の居場所。