「びっくりした! 帰ったならただいまくらい言いなさいよ」 「言ったよ」 「そうなの?聞こえなかったわ。 ご飯用意しなくてよかったのよね? いまさらいるなんて言われても何もないけどさ」 ボサボサの髪を整えもしないで、ヨレヨレの洋服に身を包んだ母親はビールをゴクゴクと喉に流し込む。 「いらない。お風呂入ったら寝るから。おやすみ」 「何よ。晩酌の付き合いくらいしてくれればいいのに。 薄情な娘ね」