「ハナ。

僕は本当にあの日のハナに救われてきたんだ。

ううん、あの日だけじゃない。

あの日からずっとハナに救われてきた。

あの電柱の道を、僕も堂々と歩きたいって思った。

あのバス停でお喋りしたいと思った。

シュガーの名前を、ハナに教えたいと思って佐藤のおばあちゃんに話しかけた。

だから、カラオケ店でのハナも、和菓子屋でのハナも、助けたかった。

八日前、やっとあの場所でハナに会えた。

声をかけられた。

僕はハナにたくさん貰ってきたから……。

貰ってばかりだったから……。

僕の全部を渡したかった。

……ねえハナ?

間に合わなくてごめんね?

遅くなってごめんね?

寒かったよね。苦しかったよね。辛かったよね。

……きっと、泣きたかったよね」