その雨の中で僕はハナを見つけた。 ハナは折りたたみの傘をさしていた。 突っ立ったまま入り口にいるわんこに話しかけていた。 僕はその時、久しぶりにハナの声を聞いた。 その声は僕の知っている自身に満ち満ちたものじゃなくなっていた。 塞ぎ込んだような、思い詰めているような、そんな重い声だった。