だからこそ、この場所は締めにこそ相応しいと思っていた。 「やっぱりここが一番好きだ」 そう言った朔の柔らかな髪を冷たい風が弱く撫でていく。 朔はその風を楽しむように髪を抑える。 「私も好き」 その後で風は私の重い髪も撫でていく。 私はその風が持ち上げる髪を払いながら髪を梳く。 如何してなんだろう。 この世界に平等なものなんて一つもない。 ただ無意味に吹く風ですら、人によって当たり方が全然違う。