私の手は朔の手と繋がっていて、私はひと言だって

「怖い」

と、言っていないのに朔は優しく力を込めて握っている手を握りなおしてくれて。

それを感じたら欠けた月が照らすその場所もそんなに暗くはないのかもと思えた。

真っ暗で閉鎖的で独立した場所だとしても怖いだなんて、そんなことはないのだと思えた。

「着いたね」

私は朔の言葉に少しだけ驚いた。

深い深い世界へと続く石段を降りる前から。

くすんだ赤の鳥居を潜る前から。

長い長い石段を登る前から。