何かに齧られたみたいに欠けた月。

少ない数の星たちに囲まれて浮かぶその月はなんだかとても寂しそうだ。

「時間、遅いかな?」

「まあ、早くはないよね」

「そうだよねぇ。どうしよう?」

「朔に任せるよ」

「うん。じゃあ行こうか。ハナ、お手をどうぞ」

それからまた手を繋いで歩きだす。

頭上からは月が無言で私たちを照らしている。