「それまでの僕はハナの事をヒーロか何かだと思ってたんだ。
強くて優しくて、なんでもできて自身に満ち溢れていて。
いつだって輝いていた。
その光はあまりにも強いもんだから羨ましいとか憧れとかはこれっぽっちもなくて、ただただ凄いなって尊敬してた。
尊敬の気持ちはいまだって変わってはいないんだけどね。
ここで見たハナはちゃんと人間だったんだ。
泣いてた。
大きな瞳から大量の涙を脱水が心配になるくらいの勢いでボタボタと。
なのに唇は強く引き結んでて、その顔を見れば泣いてるのなんて一目瞭然なのにそれでも泣いているのがバレたくないのか声だけは必死に飲み込んでいて。
それが余計に人間なんだって思えた。
そう思ったら好きが止まらなかった。
守ってあげたいって思った。
隣にいたいと思った。
他の誰でもなくて僕が、ハナのヒーロになりたかった」