「そ、桜。

ハナと過ごしたあの一瞬は桜の花みたいに美しくて特別だったんだ。

桜って春の間の僅か数日間しか満開にならないでしょ?

だけど例え咲いている時間は一瞬だったとしても一回見てしまえば忘れることなんてできない。

桜の木の生命力や力強さ、花びらの可憐な色や形は見た人の記憶に根深く色濃く残り続ける。

振り返ればその時に吹いていた風すらも思い出せるくらい鮮明に。

ハナと過ごしたあの一瞬は、あの時のハナの存在は僕にとって満開の桜のようだったんだ。

だからね?僕はあの時間を貰えただけで充分なんだよ。

ハナには何度伝えても伝えきれないくらい感謝してる。

ねえ、ハナ?あの時僕を見つけてくれてありがとう。

本当にとっても感謝してるんだ。

だからこそ、会いに行くならいまかなって、そう思った。

ちょっと思うところがあってね。

いまじゃなきゃいつなんだって思わされた。

だから僕はいま、ハナの目の前に居るんだ」