おばあさんに感謝と別れを告げ、朔と私は満たされた胃袋を抱えて完全に暗くなった町を再び歩き出す。

玄関を開けた時に気づいていたけど太陽が沈んだ後のこの時間はさっきまでよりも更に寒さが強くなっていた。

だけどしばらくは大丈夫だった。

身には朔が貸してくれたコートがあるし、首元には出る直前、ついさっき巻かれたマフラーがある。

右手にはこれも貰ったばかりのカイロが握られている。

左手には朔の温もりがある。

「シュガーの由来はね、」

それでも寒さに意識が向き始めようという頃、朔はポツリと声を落とした。