朔はこの上なく柔らかな声で私の名前を呼ぶ。

反射的にその顔を伺うと視線は真っ直ぐ前方に向けられていて、その朔の優しさに息を呑む。

「言ってごらん」

「あの質問に朔が答えてくれるなんて珍しなって思ったっだけ」

「だって、鈍ちんのハナにはもう少し大胆に教えてあげないと伝わらないと思ったから」

「鈍ちん?それってもしかしなくても鈍いって言ってる?」

「あはは。ダメだよ、ハナ。鼻息を荒くしたって可愛くて逆効果だ」

「……私は朔が何を言っているのか分からない」

「あはは」