私は下を向いて。 朔は上を向いている。 私は泣いていて。 朔は微笑んでいる。 「ハナ。僕と新しい約束を交わそうか」 新しいも何も私と朔が約束を交わしたことは一度もない。 だいたい約束は嫌いだ。 それは、見えない不安を相手を縛り付けることで解消しようとするもの。 それは、最後まで果たされることがない薄っぺらく虚しいもの。 それは、破った方を一生呪い続けるもの。