「あー、だめだよ。だって私は何も持ってないもん。

素の私を好きになって欲しいとか言えるほど私は自分が好きじゃない。

偽らなくても人が付いてくるほど特別な何かを持ってない。

他人と笑い合うのも、慰めるのも、ただ世間話をするのですら、私は偽らないとできない人なの。

だったら一人が楽。だから私は一人でいるの」

つくづく可愛くない。

改めて自分を振り返って出てきた言葉に心臓の奥が冷たく冷えた。

私は打算だらけな人間が嫌いだ。

だけどきっと、嫌いなはずのその打算に一番溺れているのは私なのだ。