「その頃の僕はね、」 そんな私を気遣ってかはたまたたまたまなのか、朔は自分のことを語り出す。 「恥ずかしいことに結構本気目の弱虫だったかな。 目にするもの全てに怯えててさ。 なのに誰に頼っていいのか分からないから不安で仕方なくて。 だからどんどん弱虫さは増していった。 不安しかなかったんだ。 母さんが死んで、父親は居なくて。 ほとんど会ったことのない人たちと家族として過ごしていかなきゃいけないなんて」