「実はね。上を見上げているハナに声をかけるのはあの日で二度目なんだ」 朔はとても静かに話す。 その声は決して大きくはないのに不思議と害音を打ち消してしまう。 それがなんだか酷く落ち着かない。 「朔はどうしてそんな顔ができるの?」 「ふふ。じゃあ特別。 ハナには一度話してるけど特別にもう一度、僕のことを話そうか。 僕は小学校中学年の時に母さんを失ってるんだ」 「っ」