猫や梟のぬいぐるみも、何を祀ってるのか神棚も、読みもしない古びた本も、変なお面もセンスのないカレンダーも、動いてない時計も、家族の写真も何も無い。

「物が少ないね」

「ん?」

「この家は物が少ないよ。

生活していくには困らないだろうけど、思い出とか繋がりとかそういうものが一切ないよね」

暖房設備は整っている。

座布団も食器もお茶菓子もある。

けど、この家は本当に物が少ない。