ーーー ところどころヒビの入った石段を登って、色褪せた鳥居をくぐって、それから石段を降りて。 私たちはその神社に背を向けて歩き出す。 「ねえ、どこに行くの?」 「そうだね、今日のところはウチに来ない?」 「はあ?」 「だって寒いじゃない」 エスコートとかなんとか言ってたくせに……。 別に期待はしてなかった。 だってこの田舎だ。 ここら辺には改めてエスコートしてもらうような場所なんて存在しない。