「まあ、ハナが笑ってくれるなら何だっていいんだ」
朔の声は吐き出した息と一緒になって、白く濁って上へと登っていく。
それを見上げている朔の顔は幸せそうで、私は改めて朔のことを変だと思った。
「さあ朔。これからどこへ行こうか」
「あれ?僕が決めるの?」
朔があまりに幸せそうに上を見上げ続けるから、私は慌てて話題をふる。
だって、行ってしまいそうだったんだ。
私も行きたいと願うその場所に、朔も同じように行きたがっているみたいに見えた。
それに、私は汚い感情に塗れてるからいくら願ってもその場所には行けないけど朔は違う。